【感想】異説「昏き星、遠い月」後日譚『フォークローズ』観劇感想
2019年12月30日。C97・3日目の公演に行ってきました。
座席はというとサークル参加特権にて入手したセ30–aという最前席……寧ろ真横。
フォークローズが箱から出てくる瞬間や手に取られていく所まで意識しなくてもガン見えのすごい席です。この日ほどサークル参加最高……!と思った日は未だかつてありません
。
実は私、前作の『カーテンエンド』からの大ファンです。
カーテンエンドの限界オタク、真剣に買い物を迷う午後 pic.twitter.com/smbdbb6dte
— やひろ◆C97 月曜日[南1-セ30a] (@81630p) 2018年11月7日
トランク型キャリーケースを謎に欲しがったり海外逃亡するの?って散々言われたクソデカキュルキュルキャリーを卒業してカーテンエンドできそうなキャリーを買いました pic.twitter.com/6kswuVOTyZ
— やひろ◆C97 月曜日[南1-セ30a] (@81630p) 2019年8月6日
続編の気配を察知してトランクに還ったり無印カーテンエンドは辛いけどなんというか考えることを放棄すれば幸せ気分に浸れる麻薬みたいなご本でまだ逃げ道があったけど、こっちはもうなんというかここからが終わりのない呪いの本番だぞ覚悟しろみたいな処刑宣告レベルの殺傷力でトランクに帰りたくなる(気の早いオタク)
— やひろ◆C97 月曜日[南1-セ30a] (@81630p) 2018年12月9日
(フォークローズ公開の約1年前のツイート)
奇しい晩餐会でカーテンエンドを配布したりもしました。
カーテンエンドは教科書。
余談ですが上のトランク型キャリーは赤みが強く、カーテンエンドに登場するキャリーはもう少し黄味が強かったのでカーテンエンド力の無さを痛感した年末でした。
異説「昏き星、遠い月」シリーズとは?
2018年夏、C94にて発表された『カーテンエンド』、またC97最新作の『フォークローズ』があります。
■イントロダクション
765プロライブ劇場の公演初の試みとして行われ
好評を博したミュージカル演劇公演「昏き星、遠い月」。
その後日潭となる新作「カーテンエンド」。
花々が咲き誇る約束の地にたどり着いた エドガーとクリスティーナの二人。
そこで訪れる日常は果たして幸せな結末なのか─。
吸血鬼となったエドガーと、吸血鬼クリスティーナの その後を描いた「夜想令嬢」二次創作です。
(公式通販ページより引用)
かっっっっっっっっっこいい・・・・・・・・・・・・・・・
カーテンエンドはこの記事を作成地点(2020.01.03)では完売してしまっていますがなんとpixivで全ページ公開・WEB再録されています。
本当に・・・これが無料でいいのか・・・・?
フォークローズはカーテンエンドの続編となるため、最大限公演を楽しむには予め履修しておく必要があります。読んで・・・・・・・・・・・・・・
#アイドルマスターミリオンライブ! 【Web再録】カーテンエンド 異説「昏き星、遠い月」後日譚 - マオーa.k.a 秤谷真王のマンガ - pixiv
www.pixiv.net
また、最新作『フォークローズ』も以下から取り寄せることが出来ます。
フォークローズ 異説「昏き星、遠い月」後日潭(MT●Rec)
www.melonbooks.co.jp
ただ今の時期だと発送までかなり時間がかかるため、待ちきれないよ〜という方はpixivからサンプルで前半部分が丸ごと読めてしまいます。
#アイドルマスターミリオンライブ! #C97新刊「フォークローズ 異説「昏き星、遠い月」後日譚」 - マオーa.k.a 秤谷真王のマンガ - pixiv
www.pixiv.net
80P中の35P……カーテンエンドと合わせると90P超えってそんな大盤振る舞いで良いんですか!?
観劇感想
※以下、表題作品及び前作のネタバレを多く含みますので
未鑑賞の方はご注意下さい。
さて、開始からこのクライマックスっぷり。
『カーテンエンド』のラストでエドガーが眠りにつき、本を閉じるとそのエドガーの入ったトランクを模した表紙が目に入り、再び開くと打ち覆いのような白・半透明の遊び紙と眠るエドガーの綺麗な姿が飛び込んでくる逃げ場のない地獄のような仕様をぶち込んでくるような作品の最新作、本当に期待を裏切りません。
サンプル地点で出し惜しみなく展開される鬱くしさ。いかにカーテンエンドがまだまだ序の口だったかを思い知りました。
クリスの、この、顔・・・・何・・・・・・・・・え・・・・・・
こわい・・・・・・エドガーが灼けて何年?
無理では・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
(ここで死を悟るオタク)
フォークローズ、開演
ページを開いた瞬間から始まるこのガチの公演感、クリスの独白から始まるシーンの舞台セット。
同人誌という体裁でありながら本物の演劇公演のような迫力ある演出には、前回同様良い意味で開いた口が塞がりません……。何をどうやって生きてきたら誌面でこんな演出をしようという発想が降ってくるんでしょうか……マオーさん、天才・・・・・・
本当に劇が進行するようなシーンの切り替わり方で読んでて気持ちがいい。。。そしてしんどさ。もう絶対に誰も幸せにならない雰囲気、もう見たくない・・・・・・・と目を覆いつつも続きが見たくなるクセになる憂鬱。
クリスですが、どんなに歪みきった形でもなおエドガーを側に置く選択をする所に強いエゴを感じて見ていて辛くなるところが最高ですね。。。
エドガー以外はいらないと目で語るようにアレクサンドラやノエルに向けられる目は冷たいものですが、エドガーに対してのクリスはコロコロと変わる表情を見せていて見応えがあります。大好きなんだなあ・・・・・・
エドガーの死
「時間はいくらでもあるから」のシーンはISF07の時にカーテンエンドのペーパーで少しチラ見せされたシーンになりますが、ヴァンパイアであるため自分の姿が鏡に映らないクリスの姿をエドガーが描き、クリスに見せてくれるというもの。
芸術というか娯楽に触れるような余裕もおそらくはなさそうだったエドガーが一体どこでそんな技術を身につけたのか?たぶんそんなに上手ではないものの一生懸命綺麗な見たままのクリスを描こうと頑張ってくれたんだろうな・・・・・・・
初対面の頃から妙に審美眼があるというか、目の付け所が"分かり手"なエドガーなのできっとキャンバスの中では天使のような美少女が微笑んでいることでしょう。。
劇中でも語られていますが、人間としてのクリスを知る人は皆いなくなってしまい、また同族殺しや賊の殺害と多くの罪を背負ったクリスを一切の偏見なく「クリス」として見てくれるのはエドガーただ一人のみ。
エドガーと出会うまでは意味のない人生に疲れ切りながらも一人で過ごしていたクリスがどんどんその寂しさを埋められてダメになってしまっているのが伝わってくることがひたすらにしんどい。
まあでもそんなことされたら誰だって好きになっちゃうよな・・・
悉くクリス特攻を持つエドガーも、ヴァンパイアである苦しみやクリスへの罪悪感から酷く傷つき眠ったままです。完全なる詰み。。半分くらいはお前の撒いた種だ、起きろ・・・・・・・・・・・
(突然推しに厳しくなるオタク)
続いてエドガーがノエルと対話するシーン。
マオーさんのエドガーはお上品で、一人称「僕」がとてもよく似合います・・・・・・・・・かわいいね・・・・・・(?)
舞台の下の真ん中のところ(名称を知らない)からふらっと出てくるエドガーが亡霊のようでたいへん可愛い。
太陽に身を灼かれ、それでも絶命することはなく生き永らえてしまったエドガーは眠り続ける中でずっとクリスと一緒に過ごす幸せな夢を見続けていた。
人を、命を犠牲にしてまで生き続けるくらいなら自分が灰になった方がましだ、というのが前作でエドガーが出した答えであり、またそんな生ぬるさや生きづらさこそがエドガーらしさでもあるものの、幼いノエルはそれを今を生き続けるヴァンパイアには不要なものとして忘れさせてしまう。
エドガーがエドガーたる所以はあっさり散ってしまった。
え。。。これは・・・・・・・・・実質的死では・・・・・・?
エ、エドガー・・・・・・また死んでしまった・・・・・エドガーいっつもすぐ死んでしまう・・・・・儚い・・・・
エドガーにとって一番大切なものといっても過言ではない部分だとは思うのですが、喪失は驚くほどにあっさりと。
エドガー本人もこれはいっそのこと忘れてしまった方が楽になれるという気持ちを常に持っていて、そういう脆さを突かれた感じなんでしょうか。
かつて死ぬことなんて怖くない!と言い切りクリスの側に居ることを選んだエドガーが消えてしまいたい、目覚めたくない…とボロボロになっているのが痛ましい。いいぞ。
夢を見続けるエドガーの周りに咲く花は二人のこれまでの幸せな旅や思い出の象徴、約束の地概念が具現化したものとかそういうのかな。。いやむしろこれがエドガーの成れの果てそのものでいいのか。ソ●ルジェム的な感じの。 お花の妖精じゃん・・・
前作・カーテンエンドの時からエドガーの夢の中での風景には背景やコマ枠の上まで至る所にこの白い花が登場しているのですが、現実らしき(エドガーがまだ陽に灼かれる前、健在だったころの)シーンでは特に登場していなかったりするので重要な描写だと個人的に思っていたりもしつつ……トランクの中にぎっしりと詰まっていたそれが全部棄てられてしまうところがちょっとかなり心にきます。
どうして、オレを棄てようとするんだ!?とかも言ってられない……エドガーさんがお花だから……(?)
それからノエルに「あんなもの」呼ばわりされたと時のクリスの顔……と露骨な牙。これは結構怒ってますね。怖い。。和解のわの字も見えてこない。
最後の最後、エドガーが目を覚ますシーンに至るまで全然お花が咲いていないのがなんとも不穏です。なんか・・・すごい白いところにちょこんと居る。きれい。
この花は実際どういう意味なんだろう。深読み勢に教えを乞いたいところ。。
すれ違う姉妹
今作におけるノエルはまるでエレオノーラを彷彿とさせるような悪役ムーブだが、その行動理念は全て大好きなお姉さまへの純粋な愛。
アレクサンドラはノエルを止める方法を薄々勘付いてはいたものの中々行動に移せずにクリスに協力を求めたのは、ノエルが目をつけたクリスが妹と同じヴァンパイアであり、また昔からヴァンパイアになることなく成長したノエルの姿を重ねていた所以だろうか。
行動を共にする中でクリスに内情を打ち明けるアレクサンドラは背中を押してほしいような止めて欲しいような、どちらの迷いも持ち合わせていたように感じる。
まあクリスはエドガーのことでほぼ頭がいっぱいで、姉妹がどうなろうと姉妹の問題だと完全に眼中にないのが……
無いと分かっていても一抹の希望を求めているアレクサンドラ。格上のヴァンパイアを手にかけるほどのクリスなら何か妹を救う手立てを知っているかもしれない、とかそういう感じなのかな。
ノエルもアレクサンドラもずっとお互いのために動いていたはずなのに一切報われない。きっとノエルは最後までアレクサンドラが自分に剣を向けた意味が分からないまま散ったのだろう。切なさ。。
ずっと騎士であるべく剣を手に取り続けていた彼女が自ら最愛の妹を手にかける。これまでの凛々しい顔立ちから一転して柔らかな女性、姉の顔を見せるアレクサンドラ。
その後の魂の抜けたしかばねのような覇気のない姿がもう見ていられない。。
ヴァンパイアってもうそれだけで誰も幸せにならない呪いのようなものを感じる。ヴァンパイア、そういうところあるよね。
エ×××××
これが本当に意味が分からなくてオタク大パニックって感じなんですが、
エレオノーラ・・・・・・??なに・・???。。?、、??????
そんなフラグが一体どこにあったのか何が起きたのか私には全く分からなかったので完全に不意打ちで?????となっているわけですが(現在進行形)
アイデンティティを、記憶を失い最早エドガーではない何者かになった彼女の名前として、エから始まる心優しく別の強い女性の名前とたまたまかぶってそれがクリスにとってはあまり聞きたい名前ではなかっただけ・・・・・ですよ ね・・・・・?
最後・・・・・・これはクリスを噛んでる・・・?それとも・・・・・分からない・・・・・分からないけどめちゃくちゃしんどいのだけはわかる・・・・・・・・・・
エドガーが「エドガー」という男装の少女になったのは彼女が腐った街で身を守り生きるためであり、その名前や装いの役割がなくなったために彼女の本当の名である「エレオノーラ」が露出しただけだと思いたい。
よくある名前だしここで乗っ取りとかそんなことは。。。。そんなことはないですよね。。。?
ないって言い切れないのがまた怖いのですが。。。。
エドガーとクリス
エレオノーラの真相がどうであれ、クリスが心惹かれ側に居たいと願ったエドガーという少女はもう既に存在せず、けれどクリスはエドガーがどのような形になってでも側に居たいという気持ちは灰になった彼女をトランクに詰め込んだ日からずっと変わらないのだろう。
例えエドガーを構築していた記憶が消えて無くなり別の誰かになっていたとしても、クリスのよく知るエドガーの姿のまままた目を覚ましてくれただけでクリスにとってはもう十分というか、
強い依存故の思考放棄というか……。
昔はエドガーの意思を尊重しヴァンパイアとして生きるか人として死ぬかの選択肢を与えてくれたクリスだったが、今やその頃の影はなく、ただ贖い切れないほどの罪に塗れた一人の孤独なヴァンパイアのエゴが大切な人を縛り付けて逃さない。
人間らしさを捨て切れないまま記憶の方を無くしてしまうようなエドガーにとって、ヴァンパイアとして生きていくことはクリスの孤独以上に生き地獄であることはエドガーのとった行動からクリスも十分に理解している筈だが、それでもクリスが出した答えは彼女を眠らせず解放せず共に居て欲しいということだった。
自分と共に千年を生きてほしい。
怖いほどに身勝手で、クリスにとってエドガーがどれほど大きな存在かが痛々しいほどに伝わるシーン。二人してどんどんダメになってしまわれて……
からのエレオノーラ……。ええ……そんなのって。。
これがメリーですらないバッドエンドか……
あえて救いを見出すのなら、エドガーの人格が完全に消えているため少なくともエドガーは苦しみから解放されている……というところでしょうか。
とはいえ本当にエドガーが消えてしまったのか奥底に封印されてしまったのかは知るよしもないのだが。。
この先クリスは空っぽのエレオノーラ(エドガー)が再び傷付いたりしないように率先的に二人分の罪を被ったりだとかしてくれそうだなと思いつつ、無垢なエレオノーラがノエルのように歪んだ純粋な愛情に目覚めて悲劇はループするエンドが目に見えてくるのがしんどいところ。
エドガーの持っていた優しさは彼女がたくさん傷付きそれでも必死に生きてきた中で得たものなので、それが無くなってしまった以上は……もう………… なんかドドドドせずにドレスも着てるし…………めちゃくちゃおしとやかだし……なんで……もう一度ドドドドしてくれ……オレは!絶対!着ないからな!って寧ろ言い出しっぺがたじろぐレベルにドレスを嫌がる素振りを見せていた君が今はこんなにも恋しい…………
フォー・クローズ
なるほどなあ〜〜〜〜〜〜
「近くに」という意味らしいです。
タイトルのフォントがフォーの部分だけ違うということだけは気付いていものの、フォークローズ最前席にウッキウキでうっかり前日ニ徹した浮かれポンチな頭では
クは・・・・クリスのク!!!!!!!!!
ということしか思い付きませんでした。
カーテンエンドもエドだけ光っててエドガー!?!?!?!?!?!・・???ってニコニコしてたオタクなのでこういうのは本当に。。。ムリ。。。。。えっいや格好良すぎるのでは。。
ちなみにフォークローズの件を受けてカーテンエンドの方にも何か仕込まれているのか…!?とエド カーテンで検索したら見知らぬ外国人のFacebookが出てきました。
余談
という訳でフォークローズ最前列での参戦でした。
隣になんかめちゃくちゃ凝ったやばめの空間が出来てて開場前からめちゃくちゃハイになり、特にカーテンエンドとは何の関係もないトランク型キャリーに顔を埋めてさすりだしたり(奇行種)設営準備中にうっかり「私の…名は…『エレオノーラ』」のところだけを見てしまいあまりの破壊力に思考が麻痺してイベントどころじゃなくなったり(すみません)、マオーさんが隣でフォークローズを読みながら解説してあげるよ〜って作者直々の特大ネタバレをぶち込んできたり、最初の四つ股の薔薇のページを開きながら
「フォークローズなんて薔薇、ねーから!」
(めちゃくちゃ嬉しそうな顔)
とか仰っていたのが忘れられません。
つつくと制作秘話をたくさんドロップして下さるので面白かったです。営業妨害すぎる・・・オタク何しに来たんだ本当に・・・・・・
もっといろいろ聞けばよかったなあ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今うちの部屋でもエドガーが眠っています。かわいいね。(布ポスターの絵柄的な意味で)
布ポスターをお譲り頂いたくせに撤収の時に紙ポスター捨てるか〜に「ええ!?!?!?!?!?」って飛びついたら紙の方まで譲って頂きました。
過去ここまでサークル特権を濫用した乞食参戦があっただろうか・・・・・?サークル参加、最高!
あとは前作のあとがきで紹介されていた『リリウム 少女純潔歌劇』、及びTRUMPシリーズにうっかり足を踏み入れてしまったのですが、これを観ている/観てないではかなり受けるダメージが変わりそうだなというか、観ていればフォークローズの臨場感がより増す(気がする)ので地獄を見たい方や夜想のような世界観の舞台が好きな方はぜひ・・・
皆大好きヴァンパイアものの舞台作品です。
ミュージカル『マリーゴールド』キャストパレード
個人的に一番地獄なマリゴ。
最後に
純白ドレスに一人称私のエドガー、可愛すぎ・・・・・・・・・・????
このまま女の子二人で綺麗なお花畑を回ったりとかしてほしいですね。
エレオノーラはたぶんきっとエドガー以上に素直なので、昔のエドガーの癖でついからかってしまった日には全て間に受け止められてしまい調子をガンガンに狂わされるクリスでいてほしい。
スレてないエドガー概念・・・・・これはすごいぞ・・・・・・・・・・・・